名古屋地方裁判所 昭和50年(ワ)2232号 判決
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【判旨】
三前二項の事実よりみると、原告建物およびその敷地である二二一番土地、二一九番土地に対する日照は、被告二建物の建築によつて著しく減少したことは明かである。
しかしながら、準工業地域に用途指定された地域内の土地において企業を営むには、ある程度の中高層建物を所有する必要が生ずることは否定できないところであるのみならず、同地域内の主要公道に接しているものの、公道より相当低く公道に通じていない土地にあつては、公道路面より高く同路面から直接進入可能な建物を所有することが通風採光の点からも、また土地の有効利用の点からも必要かつ止むを得ないことであつて、このため周囲の土地建物に日照通風阻害を与える結果を生じたとしても、加害土地で営まれる事業の内容および土地の利用方法が周囲の環境よりみて相当であると認められ、かつ同地上建物が同地域内における建築基準などに適合している限り、同地域内に土地建物を所有し若しくは利用する者として社会生活上容認すべきものであり、日照通風阻害を訴えて加害土地の有効な利用を妨げることは許されないものというべきである。
そこで、右のような観点から、前一項認定による原告建物、被告一、二建物の用途、規模、それらの所在する場所の地域性、周囲の状況、被告の事業内容、被告が被告二建物を建築するにいたつた事情、その他同項認定の事実によれば、原告は、二二一番土地、二一九番土地を過去一〇年余りにわたつて賃貸用共同住宅の用地として使用していること明かであるが、今後とも右各土地を右のような用途に供することがそれらの有効な利用方法といえるかどうか疑問であること(因に、検証の結果によれば、原告は、原告建物北側の土地を所有しているが、住宅用地として使用せず倉庫用地として使用している)、証人長嶋志朗の証言によれば、被告は、本訴提起(昭和五〇年一〇月二五日、被告二建載の完成前)後原告に対し右各土地を時価相当価格で買受けたい旨申入れたにもかかわらず、原告においてこれに応じなかつたことが認められることなどの事情を総合して判断すると、被告の被告一、二建物所有による原告建物およびその敷地である二二一番土地、二一九番土地に対する日照阻害は、それらの所有者たる原告において社会生活上容認すべきであり、未だ、原告のそれらに対する所有権の円満な行使を侵害し、受忍の限度を著しく越えたものとして違法であると認定することは相当でないというべきである。
(谷口伸夫)